2020 白神裕己
2020年度 岡山理科大学工学部建築学科 卒業設計審査会 佳作
第16回優秀卒業作品表彰 優秀賞[岡山県建築士事務所協会]
採石の島・北木島の風土が生み出した荒々しい「岩肌」と真正面から向き合い、当該学生が悪戦苦闘する姿をそのまま建築化している点が、この作品の真骨頂と言える。一見未完とも思える無骨なフォルムは、北木島の石工が岩肌と向き合った時間の延長線上に、自らの制作行為を継ぎ足したかのようである。この作品を観ていると、評価しているこちら側が、時空を超えたその行為の連なりを理解できるか試されているような気になる。
一方で、本提案のプログラムは緻密である。北木島に点在する石工の痕跡を辿りながら、採石・加工・運搬までの一連の石工の技術を理解できるよう工夫されている。北木島の来訪者は、主要な美術館を配した「採石場エリア」と既存施設を改修した「加工場エリア」、「入江エリア」の3箇所を中心に巡ることで、石工の技術にみられる「みる」・「さわる」・「きく」・「わる」・「つくる」・「はこぶ」の6つの動作を理解することができる。そして、北木島の風土となった石工の文化や歴史を肌で感じ、北木島のアイデンティティーを想起する。
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